派遣社員の連休は無給?泣き寝入りしないための権利と契約書の読み方

派遣社員の連休は無給なの?-知らないと損する権利と契約書の読み方- 派遣社員のはじまり
派遣社員の連休は無給なの?-知らないと損する権利と契約書の読み方-

「GW明けの給料、また少ない…」

「お盆休み、有給使えって言われたけど、おかしくない?」

「飛び石連休の谷間の日、派遣先が有給奨励日だから、あなたも有給使って」

「創立記念日、前日に急に言われたんだけど、これって無給になるの?」

「契約書に会社カレンダーによるって書いてあるのに、そもそも会社カレンダーをもらってない…」

派遣社員として働いていると、連休のたびにこういった不安や疑問が頭をよぎります。
派遣の連休は無給になるのか、不安に感じていませんか?

正社員の同僚がのんびりGWを満喫しているなか、自分は「あと何日分給料が減るんだろう」と計算してしまう、あの感覚。

この記事では、派遣社員が連休で収入が減る仕組みと、知っておくだけで損をしなくなる権利、そして契約書の読み方まで解説します。

「知っているのに使わない」と「知らなくて泣き寝入り」は、まったく違います。


 

派遣社員の連休が無給になる理由

結論からお伝えします。

祝日分は無給です。
これは時給制という仕組み上、避けられません。
ただし、例外もあります。

連休に絡んで「派遣先の都合で急に休みにされた平日」や「契約書に書かれていなかった休日」については、本来なら収入を守れる可能性があります。

その差を生むのは、知識があるかどうかだけです。

「知らなかった」で泣き寝入りするか、「知っていた」から守れるか。

この記事では、派遣歴40社以上の経験をもとに、その「差」を生む知識をまとめました。


派遣社員のほとんどは時給制のため、働いた分しか給料が発生しません。

正社員は月給制が多く、祝日があっても給料は変わりません。

でも派遣社員は、祝日=出勤しない日=収入ゼロの日、です。

たとえば時給1,500円・1日8時間勤務の場合、1日あたり12,000円。
GWで平日が5日休みになれば、それだけで6万円の収入減になります。

これがお盆・年末年始と毎年繰り返されるのが、派遣社員の現実です。


なお、月給制の派遣社員はこの問題とは別の話になります。

月給制は、その月の実働日数に関わらず毎月一定の給料が支払われる仕組みです。
連休が多い月も、平日が多い月も、受け取る金額は変わりません。

収入が安定するのは大きなメリットですが、月給制の派遣求人は数が少ないのが現状です。

求人票や契約書で「月給」と明記されているかどうか、確認してみましょう。

 

年間の「給料が減る時期」一覧

連休による収入減は、GWだけではありません。
年間を通じてこれだけの時期があります。

時期 リスク 特徴
ゴールデンウィーク(4〜5月) ★★★ 末日締めの場合、4月より5月の給料に直撃する。
出費も重なりやすい
お盆(8月) ★★ 暦の祝日とは別に派遣先独自の夏季休暇があるため、いつ何日休みになるか読みにくい
シルバーウィーク(9月) ★〜★★ 派遣先によっては「出られる人は来てね」と出勤を認めてくれることも
年末年始(12〜1月) ★★★ ボーナスなしの派遣社員に最も痛い時期。1月も祝日が続く
創立記念日など(時期不定) 下で詳しく説明します
2月・3月 2月は祝日2日+日数が少ない。3月も春分の日がある

2026年の祝日は振替・国民の休日を含めて18日あります。
そのうち土日と重ならない平日の祝日が16日です。

「たった16日」と思うかもしれませんが、時給1,500円・8時間勤務なら1日12,000円。
16日分で192,000円が、正社員との収入差として積み上がっていきます。


ひとつ、創立記念日について補足します。

派遣先が決まったとき、再度わたしは必ず派遣先のホームページを確認します。

会社情報のページに創立年月日が書いてあることが多いので、「あ、〇月〇日が創立記念日だから休みになるかもな」と事前に目星をつけておくわけです。

ただ、創立記念日が土日にあたった年の振替日がくせもので、前後の平日になるだろうと思っていたら、まったく離れた日に指定されたことがあって、さすがにびっくりしました。

創立記念日の振替日については、契約前に確認しておくのが無難です。


もうひとつ、年末の最終日あるあるも触れておきます。

年末の最終出勤日は、派遣先によって「12時まで」「15時まで」と、定時より早く切り上げるところが多いです。

このとき、派遣先の担当者が「定時までタイムカードつけていいよ」と声をかけてくれるところもあれば、何も言われないところもあります。

こちらからは言い出しにくいので、結果的に短縮分が無給になってしまうこともあります。

派遣社員の連休は無給?泣き寝入りしないための権利と契約書の読み方-2

連休のたびに給料が減る派遣社員のリアル

 

知らないと損する3つの権利

「派遣社員だから連休が無給になるのは仕方ない」

そう思っていませんか?

確かに時給制である以上、祝日が無給になるのは避けられません。
でも、それ以上に損をしているケースが実はたくさんあります。

権利① 有給休暇は会社に強制されない

「お盆は有給を使ってください」

「飛び石連休の谷間、有給に振り替えていいよ」

こう言われた経験はありませんか?

実はこれ、原則として違法です。

労働基準法第39条では、有給休暇は労働者自身が取得時期を決める権利、いわゆる「時季指定権」があると定めています。

会社側が「この日に有給を使え」と一方的に指示することは、労働者の権利を侵害する行為にあたります。

例外として認められているのは以下の2つだけです。

計画年休制度
労使協定を書面で締結した場合に限り、会社が取得日を指定できます。

年5日取得の時季指定
労働者の希望を聞いた上で、会社が指定する場合に認められています。

さらに派遣社員にとって重要なのは、派遣先には派遣社員の有給に関与する権限がそもそもないという点です。

有給を付与するのは派遣元(派遣会社)であり、派遣先がいくら「有給を使って」と言っても、法的な強制力はありません。

「有給を使ってほしい」と言われたら、「自分のタイミングで使います」と答えて問題ありません。

参考:年次有給休暇取得促進特設サイト(厚生労働省)

 

権利② 土日祝日が休みの契約なら、祝日に有給はあてられない

これは逆のパターンです。

契約書に「土日祝日休み」と書いてある場合、祝日はそもそも出勤しなくていい日です。

有給休暇は「本来出勤しなければならない日に休む権利」なので、もともと出勤しなくていい日に有給をあてることはできません。

つまりGWの祝日部分は、有給をあてることも、有給で給料をもらうこともできないのです。

有給が使えるのは、あくまで契約上の「出勤日」だけです。

このことを知らずに「有給があるから大丈夫」と思っていると、いざというときに使えない場面が出てきます。

 

権利③ 派遣先都合の休業なら「休業手当」がもらえる場合がある

最も知られていない権利がこれです。

「来てもらっても誰もいないし、仕事もないんだよね」

連休前にこう言われた経験がある方もいるのではないでしょうか。

でも待ってください。

これ、派遣先の都合で出勤させてもらえないということです。

労働基準法第26条(e-Gov法令検索)では、使用者の責任で休業した場合、平均賃金の60%以上を支払う義務があると定めています。

事前に契約書で休日と定められていた場合や、天災など不可抗力の場合は対象外になりますが、そうでない場合は休業手当が発生する可能性があります。

ただし注意点があります。

申請先は派遣先ではなく、派遣元(派遣会社)です。

「来てもらっても誰もいないし、仕事もないんだよね」と言われたとき、休業手当を請求するかどうかは自分次第です。

毎日顔を合わせる派遣先の担当者には、なかなか言い出しにくいですよね。

でも休業手当の申請先はあくまで派遣会社です。

「派遣先に急に休みと言われたのですが、休業手当はどうなりますか?」と派遣会社の営業担当に確認するだけでいいのです。

知っているのと知らないのとでは、長い派遣生活で積み重なる差は小さくありません。
こちらの記事もご参考に【体験談】派遣社員の休業手当——60%保障の実例と派遣先の好意で全額もらえた話

 

契約書の読み方と「会社カレンダー」問題

派遣の契約書には、休日の欄にこんな記載がよくあります。

「休日:土・日・祝日、その他(会社カレンダーによる)」

一見ちゃんと書いてあるように見えますが、ここに落とし穴があります。

 

そもそも「会社カレンダー」とは何か

まず「会社カレンダー」とは何かを説明しておきます。

年末に取引先に配布する、会社名入りのカレンダーのことではありません。

派遣の世界でいう会社カレンダーとは、その会社の年間の休日スケジュールをまとめた就業カレンダーのことです。

何月何日が休みで、何月何日が出勤日か、祝日以外の独自の休日はいつか、といったことが記載されているものです。

実際に「会社カレンダーをください」と派遣先に伝えたところ、「今は10月だからカレンダーはありません」と言われたことがあります。

年末に配る名入りカレンダーと勘違いされていたのかもしれません。

 

「会社カレンダーによる」の正体

「会社カレンダーによる」と書いてある以上、当然この就業カレンダーが存在するはずです。

ところが実際には、「そんなものはありません」と言われることが少なくありません。

わたし自身も経験があります。

前日に口頭で「明日から10日間休みになるので来なくていいです」と言われることが毎回続いたので、派遣会社の営業担当に「会社カレンダーをください」と伝えました。

返ってきた答えは「そんなものはない」でした。

事前に計画が立てられないのはもちろん、旅行の予定も何も立てられません。

早めに教えてもらえれば、無給の連休も楽しい計画に変えられるのに、と何度思ったかわかりません。

 

実は法律違反の可能性がある

労働基準法第15条(e-Gov法令検索)では、就業日・休日は派遣契約締結の前に派遣社員に通知する義務があります。

つまり「会社カレンダーによる」と書くだけでカレンダーを渡さないのは、そもそも義務を果たしていない状態です。

前日に口頭で告知するのも、契約締結後の話なので完全にアウトです。

 

契約が決まったら、すぐに動く

では実際にどう動けばいいか。

派遣先が決まって契約書を受け取ったら、すぐに確認してみましょう。

契約書に「会社カレンダーによる」と書いてある場合は、派遣会社の営業担当にこう伝えます。

会社カレンダーをいただけますか?

もし「カレンダーはない」と言われたら、こう確認します。

では、暦通りの休日以外に休みが発生した場合は、休業手当の対象になりますよね?

この一言を言えるかどうかで、結果が変わることがあります。

「そんなことを言ってくる派遣社員は初めてです」と言われることもあるかもしれません。

でも、おかしいのはこちらではありません。

 

派遣先のホームページも確認しておく

契約前の準備として、先ほどの「給料が減る時期」の項目でも触れましたが、派遣先のホームページで創立記念日を確認しておくのも有効です。

振替日についても、契約前に派遣会社に確認しておくのが無難です。

 

実体験:現場で見てきたリアルな話

ここからは、わたしが実際に経験したり、目の当たりにしてきた話をひとつ紹介します。

「そんなことあるの?」と思うかもしれませんが、本当の話です。

 

創立記念日、得した人と損した人

あるとき、派遣先の創立記念日に「タイムカードはいつも通りつけていいよ」と派遣先の担当者(指揮命令者・タイムカードの承認をしてくれる人)から声をかけてもらったことがありました。

出勤していないのに給料が出る、派遣社員にとってはありがたい対応です。

実はこれ、派遣先の総務から各部署の担当者にメールで連絡が来ていたのです。

ただ、派遣社員はメールアドレスを持たされていないことが多いので、担当者経由で伝えてもらう仕組みになっています。

わたしの部署の担当者はちゃんと教えてくれました。

でも隣の部署の、同じ派遣会社から来ていたAさんは何も知らされていませんでした。

Aさんは結果的に無給扱いになり、かなり怒っていました。

同じ職場、同じ派遣会社、同じ日の出来事なのに、部署の担当者が伝えたかどうかだけで、片方は給料が出て、片方は無給になってしまった話です。

 

まとめ

派遣社員の連休が無給になるのは、時給制という働き方の仕組み上、ある程度避けられないことです。

でも、この記事で紹介してきたように、知っておくだけで防げる損や、申し出ることで救われる場面は確実にあります。


最後に、大事なポイントをまとめます。

  • 有給休暇は労働者自身の意思で取るものです。派遣先から「有給を使って」と言われても、強制力はありません。
  • 土日祝日が休みの契約なら、祝日に有給はあてられません。
  • 派遣先の都合で休みになった場合は、休業手当の対象になる可能性があります。申請先は派遣先ではなく派遣会社です。
  • 「会社カレンダーによる」と書いてある契約書には、必ずカレンダーをもらいましょう。カレンダーがないなら、暦通り以外の休みは休業手当の対象になりえます。

「言いにくい」「もめたくない」という気持ちはよくわかります。

わたし自身も、毎回強く出られるわけではありません。

でも、知っているのに使わないのと、知らなくて泣き寝入りするのは、まったく違います。


困ったときは、全国の労働基準監督署(厚生労働省)に相談することもできます。
敷居が高いと感じるかもしれませんが、実際にわたしも何度か相談したことがあります。親切に対応してもらえますよ。


派遣の渡り鳥として40社以上の派遣先を経験してきたなかで、知識があるだけで救われた場面が何度もありました。

この記事が、同じように派遣で働く誰かの「知らなかった」をひとつでも減らせたら嬉しいです。

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