派遣の時給が上がる5つのパターンと交渉が通る条件|40社経験者が解説

派遣の時給が上がる5つのパターンと交渉が通る条件|40社経験者が解説 派遣社員のお金のはなし
派遣の時給が上がる5つのパターンと交渉が通る条件|40社経験者が解説

「同じ仕事をしているのに、時給がずっと変わらない。」
「派遣って、そもそも時給交渉していいの?」
「上げてほしいけど、どう切り出せばいいかわからない。」

こんなモヤモヤを抱えたまま、今日も出勤している人は少なくないと思います。

結論から言うと、派遣の時給交渉は可能ですが、成功する人には共通する「根拠」があります。
ただし、何となくお願いするだけでは、時給アップにつながりにくいでしょう。

派遣歴40社以上、実際に何度も時給交渉を成功させてきた私が気づいたのは、時給が上がるにはいくつかの「パターン」があるということです。
根拠を持って交渉できるかどうかで、結果は大きく変わります。
逆に言えば、パターンを知って正しく動けば、時給アップにつながる可能性は十分あります。

この記事では、時給が上がる5つのパターンと、交渉が実際に通る条件を順番に解説します。
派遣の仕組みから丁寧に説明するので、派遣を始めて間もない方にも読んでいただけます。

派遣の時給はどうやって決まるのか

派遣社員の時給は、正社員の給与とは決まり方が違います。
まずここを知っておくと、交渉の話が一気にわかりやすくなります。

派遣の時給が決まる3つの要素

  1. 派遣料金:派遣先企業が派遣会社に支払う金額
  2. マージン:派遣会社が受け取る手数料
  3. あなたの市場価値:スキルや経験

派遣先が払う「派遣料金」= あなたの時給 + 派遣会社のマージン

つまり、派遣会社はあなたと派遣先の間に入って、差額を受け取る仕組みです。

また、「同一労働同一賃金」により、派遣社員と正社員の間で不合理な待遇差を設けることが禁止されました。
以前と比べて、派遣社員が待遇の見直しを求めやすい環境になっています。
詳細は厚生労働省の同一労働同一賃金特集ページをご覧ください。

交渉の窓口は派遣会社、派遣先ではない

時給交渉は、派遣会社の担当者(営業)に申し入れるのが正式な窓口です。
派遣先の担当者に直接「時給を上げてほしい」と言うのはNGです。

ただし、派遣先によっては就業中に3か月ごとなど定期的に面談を設けているところがあります。
これ自体は違法ではありません。
ただ、その場で時給の話が出たとしても、正式な交渉は派遣会社経由になります。

時給が上がる5つのパターン

時給が上がるときには、大きく分けて「先方から上げてくれるパターン」と「自分から交渉するパターン」があります。

先方から上げてくれるパターンは①実績評価と⑤引き留めの2つです。
派遣先や派遣会社から動いてくれるパターンです。
自分から交渉するパターンは②③④です。

どちらがいいかではなく、自分が今どのパターンにいるかを把握することが大切です。

①実績評価

派遣先や派遣会社が「この人の頑張りに応えたい」と判断して、自発的に時給を上げてくれるパターンです。

私が派遣を始めて最初の長期就業先でこれを経験しました。
そこは問題のある社員がいることで有名な職場で、退職者が続出していました。
その派遣先は、派遣会社を複数社契約していました。
派遣就業開始から半月後、派遣会社の営業さんから連絡があり、「その人からは、苦情しか言われたことがなくて、こんなに褒められたのは初めてだから、時給を100円上げさせてください」と言われました。

このパターンは狙えるものではありません。
ただ、実際にこういうことは起きます。
日々の仕事ぶりを評価してくれる派遣先や担当者に出会えることもあります。

②業務拡大

契約時の業務範囲を超える仕事が増えたときに交渉するパターンです。
これが、自分から動いて時給を上げる方法の中で最も正当な根拠になります。

私はDTPオペレーターとして就業していたとき、本来は電話応対がない契約でした。
ところが一般事務の社員が電話を取らないため、鳴りっぱなしの状態が続いていました。
ある日「一度取ってほしい」と言われ、大丈夫そうだと判断されたのか「電話応対してほしい」と正式に依頼されました。

このとき、その場で即答してはいけません。
「本来の業務外の仕事なので、派遣会社と相談してからお返事します」と答えるのが正解です。

実はこれを知らなかった頃、その場で引き受けてしまったことがあります。
次の契約更新のときに「業務が増えているので時給の交渉をしたい」と派遣会社に申し入れたら、「派遣会社には正式な話が来ていない。勝手に自分でOKしてしまったのなら、派遣会社として正式に対応できないので時給は上げられません。」と言われて、交渉が成立しませんでした。

契約にない業務が増えるときは、絶対に派遣会社を通しましょう。

③スキルアップ

資格取得や新しいスキルの習得が評価されて時給が上がるパターンです。

私がOA事務をしていた頃、MOS Expertの資格に合格しました。
それが派遣先の耳に入り、お祝いの意味もあったと思いますが、時給を上げてもらえました。

同僚の経理事務の子は、もともと簿記3級を持っていたのですが、就業中に簿記2級に合格して時給を上げてもらえたと話していました。

資格は「見える実績」です。
ただし、どんな資格でもいいわけではなく、今の業務に関係のある資格であることが重要です。
経理事務なら簿記、不動産事務なら宅地建物取引士など、業務との関連性が高い資格ほど交渉の材料として使いやすくなります。
関連記事:▶派遣のスキルシートとは?書き方と登録時のコツを40社経験者が解説【体験談あり】

④市場連動

求人市場の相場が上がっているタイミングを根拠に交渉するパターンです。

やり方はシンプルで、求人サイトで自分と同じ職種・スキルレベルの案件を調べて、現在の時給と比較します。
私自身も求人を見比べて、「同じような仕事内容なのに時給が100円以上高い案件がある」と気づいたことがあります。
そうやって相場を知ることで、自分の時給が適正なのか判断しやすくなりました。
「同条件の求人で時給○○円の案件も見ています」という形で伝えると、感情ではなく客観的な数字として出せるので、派遣会社も判断しやすくなります。

ただし言い方には注意が必要です。
「他社に行きます」というような脅しに聞こえると逆効果になります。
「相場も踏まえてご相談したい」というスタンスで切り出すのが自然です。

⑤引き留め

派遣先が「この人に辞められると困る」と判断して、派遣会社経由で時給アップを申し出てくるパターンです。

ただ、どんな職場でも起きるかというとそうではなく、環境に問題があると自認している派遣先ほど起きやすいです。
くせの強い社員がいる、他の派遣社員がサボりがち、退職者が多いなど、職場環境に課題がある職場ほど、まともに働いてくれる人を手放したくないと考えます。

私自身も複数の派遣先でこの経験をしています。
派遣会社経由で「派遣先から時給を上げたいと連絡がありました」と言われるケースです。
正直なところ、純粋な評価なのか引き留めが目的なのかは判断しにくいですが、どちらにせよ結果として時給が上がるなら同じことです。

なお、派遣先の担当者から直接「時給を上げたい」と言われることがあっても、正式な手続きは派遣会社経由になります。
派遣先がOKと言っても派遣会社がNGと言うケースもあるので、話が来たからといって確定ではありません。
私も実際に派遣先からOKが出たにもかかわらず、派遣会社から「対応できません」と言われた経験があります。
理由は教えてもらえませんでした。
忘れてはいけないのは、時給を決める契約を結んでいるのはあくまで派遣会社です。
派遣先から「上げたい」という話が来ても、派遣会社が首を縦に振らなければ実現しません。
嬉しい話が来たときほど、確定するまでは冷静に待ちましょう。

派遣の時給交渉の切り出し方とタイミング

②業務拡大・③スキルアップ・④市場連動、この3つのパターンは自分から動いて時給を上げるケースです。
実際にどう動けばいいのかを説明します。

交渉のタイミングは契約更新前

切り出すタイミングは、契約更新の1か月前が目安です。
更新直前だと派遣会社が派遣先と調整する時間が取れません。
余裕を持って相談する方が、話が進みやすくなります。

できれば対面で交渉する

派遣会社の営業さんが職場訪問に来たタイミングが一番のチャンスです。

3か月更新の職場では、派遣先の会議室などを借りて定期面談が行われることがあります。
営業さんが先に派遣先の担当者と話をして、そのあとスタッフ一人ひとりと面談して更新希望を確認する、という流れです。
このタイミングが交渉に一番向いています。

対面だと営業さんもその場でメモを取りながら「派遣先と交渉してみます」と言いやすい。
結果は後日、「正式に時給○円アップして、○月○日から時給○円になります」という形でメールか電話で来ることが多いです。

電話しか来ない場合

現実には、更新確認を電話で済ませる営業さんも多いです。
派遣社員全員の更新希望を確認して、そのまま更新というのが一番手間がかからないので、わざわざ訪問しないということだと思います。

電話だと、その場で詳しい事情を説明しにくいため、結論が出ないまま終わることもあります。

これはもう割り切るしかないのですが、一つ手があるとすれば「まだ更新するか迷っているんですよね」と言ってみることです。
それを聞いて、来てくれることもあります。
ただし「じゃあ一週間後にまた電話します」と言われて終わることもあります。
うまくいくかどうかは、担当者や派遣会社の運用によって異なります。

切り出し方はシンプルでいい

私はいつも「そろそろ時給あがらないですか?」と聞いています。

前置きは要りません。
「生活が苦しくて」とか「頑張っているので」みたいな言い訳をつけると、かえって根拠が弱く聞こえます。
シンプルに切り出して、理由を聞かれたら根拠を答える。この順番で十分です。

ただし、この一言が効くのは根拠が伴っているときです。
業務が増えた、資格を取った、相場を調べた。
そういう材料がある状態で言うから通ります。
根拠がないまま交渉しても、時給アップにつながる可能性は高くありません。

交渉が通らなかったときは

交渉しても通らないことはあります。
そのときにまず確認してほしいのは、「今の派遣会社でこれ以上は難しいのか」ということです。

派遣会社によって、時給の上限や派遣先との交渉力には差があります。
頑張って交渉しても通らない場合、それはあなたの価値が低いのではなく、今の派遣会社の限界である可能性があります。

同じ職種・スキルでも、派遣会社が違うだけで時給が100円以上変わることは普通にあります。
複数の派遣会社に登録して比較してみると、自分の適正な時給が客観的に見えてきます。
今の職場への不満がなくても、登録だけしておくことで交渉の材料にもなります。
関連記事:▶派遣会社の登録で何を書く?職歴・スキル・希望条件の書き方を派遣社員経験30年が解説

なぜ同僚の交渉は通らないのか

時給交渉をしてもなかなか通らない人には、共通したパターンがあります。

派遣先で一緒に働いていた同僚たちを見ていて気づいたことがあります。
時給交渉をしているのに上がらないと言っている人の理由が、だいたいこの3つでした。

「一生懸命頑張っているから」
「仕事が早くなったから」
「長く働いているから」

気持ちはわかります。
でもこの3つは、派遣会社や派遣先にとって時給を上げる根拠にはなりません。

「頑張っている」は根拠にならない

頑張っていることは大前提です。
頑張っていない人の時給を上げる会社はありません。
ただ、頑張っていることは「時給を上げてください」の理由にはならない。
頑張った結果、何が変わったのかが根拠になります。

「仕事が早くなった」は逆効果になることがある

これは盲点です。
仕事が早くなったということは、同じ時間でこなせる量が増えたということです。
派遣先からすると、早く終わって手が空いている状態は、むしろ困ることがあります。
「早くなりました」は自分では成長のアピールのつもりでも、相手には「じゃあもっと仕事を増やせばいい」と受け取られるか、「別に頼んでいない」と思われるかのどちらかです。

ただし、早くなった時間を使って新しい業務を自分から取りに行くことはできます。
その業務が契約外のものであれば、②業務拡大パターンの交渉材料になります。

「長く働いているから」は会社都合の話

長く働いていることは、派遣先や派遣会社にとってはありがたいことです。
ただ、それはあくまで会社側のメリットです。
「長くいるから上げてほしい」は、「自分が得をするために上げてほしい」という要求と同じに聞こえます。

時給が上がる根拠になるのは、業務内容や難易度が変わったこと、スキルが増えたこと、市場相場との乖離です。
時給交渉では、「どれだけ頑張ったか」よりも、業務内容やスキルなど客観的な変化を説明できる方が、話が進みやすい傾向があります。

勘違いしやすい落とし穴

「定期的に上がり続ける」は幻想

派遣を始めたばかりの頃、私は大きな勘違いをしていました。

最初の長期就業先で、派遣就業開始から半月で100円、1か月後に50円、3か月後にまた50円と、立て続けに時給が上がりました。
しかも全部、派遣会社の営業さんから言ってきてくれたケースです。

そのせいで「3か月ごとに50円ずつ上がっていくものなんだ」と思い込んでしまいました。

4回目に自分から「そろそろ時給あがらないですか?」と切り出したとき、営業さんにはっきり言われました。
「一般的にはこんなに短期間でこれだけ時給が上がることはないんですよ。もう限界です。」と。

時給は上がり続けるものではありません。
上がるときは上がる理由があって、止まるときは止まります。
「前回上がったから今回も上がるはず」という期待は、交渉の根拠にはなりません。

時給には上限がある

派遣料金とマージンの仕組みで説明したように、派遣会社と派遣先との契約条件によっては、現在の派遣料金の範囲では時給アップが難しいケースがあります。
派遣先が派遣料金を見直さない限り、派遣会社だけの判断では対応できないためです。
「なぜ上がらないのか」がわからないまま交渉を繰り返しても、結果は変わりません。
今の派遣会社・派遣先で時給が上限に達しているなら、交渉を続けるよりも、派遣会社を変えたり、より条件の良い職場を探したりする方が現実的です。

よくある質問(FAQ)

Q. 更新のたびに(3ヶ月ごとに)時給交渉しても嫌われませんか?

正直に言うと、明確な理由がないのに毎回交渉していたら嫌われます(笑)。
3か月という短い期間で交渉していいのは、契約外の業務が急に増えた、仕事に直結する資格をこの間に取ったなど、誰が見ても明らかな変化があったときだけです。
もし切り出すなら、「時給を上げてください」と要求するより、「どうすれば時給が上がりますか?」と相談する形をとった方が、営業担当も動きやすくなります。

Q. 時給アップを断られたら、次の契約は更新しない方がいいですか?

断られた理由によって、答えは変わります。
断られた理由が「あなたのスキル不足」ではなく、「今の派遣先・派遣会社が支払える時給の上限(頭打ち)」である場合は、いくら長く働いても今後時給が上がる可能性は低いです。
その場合は、無理に更新を続けず、より高時給な別の派遣会社や職場へ移るタイミングと言えます。
関連記事:▶更新されなかったのは自分のせい?派遣社員が経験した会社都合のつなぎ採用【実録】

Q. 派遣先の社員さんから直接「時給上げるね」と言われたのに、派遣会社に断られるのはなぜですか?

派遣会社と派遣先との間での「契約(派遣料金の値上げ)」が合意に達していないためです。
派遣先の現場の人が「上げてあげたい」と思っても、企業の財務や人事部が「派遣料金(コスト)の引き上げ」を拒否することがあります。
派遣会社としても、派遣先からもらうお金が増えなければ、あなたの時給だけを上げることはできません。
現場の優しい言葉を真に受けすぎず、あくまで派遣会社からの正式な回答を待つのが鉄則です。

Q. 時給を上げるために派遣会社を変える場合、今の派遣先に迷惑はかかりませんか?

契約満了のタイミングで退職・移行するのであれば、法的な問題もありませんし、そこまで気にしなくて大丈夫です。
同じ職場(派遣先)のまま、派遣会社だけを乗り換えるのはトラブルの元になりますが、「現在の派f遣会社との契約を期間満了で終了し、別の派遣会社から新しい仕事を紹介してもらう」のは自由です。
40社以上経験した私から言わせてもらえば、自分の市場価値に合ったお給料をくれる会社を選ぶのは、労働者として当然の権利です。


時給交渉で一番大切なのは、「頑張ったから」ではなく「状況が変わったから」と説明できることです。
契約外の業務が増えた、資格を取得した、市場相場と差があるなど、客観的な根拠を準備してから交渉すると、話が進みやすくなります。

まとめ

この記事では、派遣の時給が上がる5つのパターンと、交渉が通る条件を解説しました。

最後に整理します。

時給が上がるパターンは5つあります。
①実績評価と⑤引き留めは先方から動いてくれるパターンで、自分では狙えません。
自分から動けるのは②業務拡大・③スキルアップ・④市場連動の3つです。

交渉が通る条件はシンプルです。
契約外の業務が増えた、資格を取った、相場と乖離がある。
この3つのどれかが根拠として言えるかどうかです。
根拠のない交渉はほぼ通りません。

そして忘れてはいけないのが、交渉の窓口は派遣会社です。
派遣先に直接言わない。
業務が増えたときはその場で即答しない。
この2つは必ず守ってください。

交渉しても通らないときは、今の環境の限界を疑ってください。
同じ仕事でも、派遣会社が違うだけで時給が変わることは普通にあります。

派遣会社を1社追加で登録してみるだけで、自分の市場価値が客観的にわかります。
今の交渉の材料にもなりますし、より条件のいい案件に出会えることもあります。

時給は、静かに待っていても上がりません。
でも、パターンを知って正しく動けば、ちゃんと変えられます。

時給交渉は勇気よりも準備です。
まずは、自分が今どのパターンに当てはまるのかを整理することから始めてみてください。

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