【体験談】派遣社員の休業手当——60%保障の実例と派遣先の好意で全額もらえた話

【体験談】派遣社員の休業手当——60%保障の実例と派遣先の好意で全額もらえた話 派遣社員のはじまり
【体験談】派遣社員の休業手当——60%保障の実例と派遣先の好意で全額もらえた話

「急に『来なくていい』って言われたら、収入どうなるの?」

「正社員じゃないと、休業手当ってもらえないの?」

派遣社員として働いていると、こんな疑問を持ったことがある人は少なくないはずです。

結論から言うと、派遣社員にも労働基準法第26条に基づく休業手当を受け取る権利があります。
ただし「知らなければ、もらえないまま終わる」のが現実です。

わたし自身、40社以上の派遣経験のなかで、休業手当に関わる場面に6回遭遇しています。
法律上の権利として請求できたケース、早期終了のタイミングで自分から申し出てもらえたケース、派遣会社が廃業になって支給されたケース。さらに法律上の休業手当とは別に、派遣先の好意で全額もらえた番外編も含めて体験談をまとめました。

「派遣に休業手当なんてない」と思っていた方にこそ、読んでほしい内容です。

なお、派遣社員の給与や手当の仕組み全般についてはこちらの記事もあわせてどうぞ。

この記事でわかること

  • 派遣社員が休業手当をもらえる条件
  • 実際にもらえた6つのケース(体験談)
  • 休業手当の計算式と金額イメージ
  • 派遣会社への申請手順と相談先

 

派遣社員の休業手当とは?法律上の根拠と平均賃金の60%の意味

派遣社員にも休業手当が支給される根拠は、労働基準法第26条にあります。

条文をざっくり言うと、「会社都合で労働者を休業させた場合は、使用者が平均賃金の6割(60%)以上を支払わなければならない」というものです。
正社員だけに適用される法律ではなく、派遣社員・パート・アルバイトも対象です。

支給されるのは「会社都合」のとき

ここでいう「会社都合」とは、派遣先企業の都合だけでなく、派遣会社(派遣元)の都合も含みます
派遣先が経営不振で仕事がなくなった場合はもちろん、派遣会社自体が廃業・事業縮小になった場合も該当します。

たとえば、以下のようなケースが会社都合に該当します。

  • 派遣先の仕事が減って「今日は来なくていい」と言われた
  • 派遣先が経営不振で一時的に操業停止になった
  • 契約期間途中で打ち切られ、契約満了前に就業できなくなった
  • 派遣会社自体が廃業になり、就業継続ができなくなった

一方、天災や不可抗力による休業は、原則として休業手当の対象外になります。
ただし「不可抗力だから払わなくていい」と簡単に判断できるわけではなく、派遣元が別の派遣先を紹介できる状況だったかどうかも考慮されます。

平均賃金の6割(60%)はあくまでも「最低ライン」

休業手当として支払われるのは、平均賃金の6割(60%)以上です。
これは法律で定められた最低ラインで、会社が6割を超えて支払うことは問題ありません。

派遣先の好意で平均賃金の100%、つまり全額が支給されるケースも実際には存在します(この記事の番外編で紹介します)。

休業手当と休業補償は別物

似た言葉に「休業補償」がありますが、これは別の制度です。

  • 休業手当 → 会社都合で休業させられたときに派遣会社が支払うもの(労働基準法)
  • 休業補償 → 業務中や通勤中のケガ・病気で働けなくなったときに労災保険から支給されるもの

この記事で扱うのは前者の「休業手当」です。
入院や傷病による休業は別の制度になります。
こちらを参考にどうぞ。

休業手当がもらえた3つのケース(法律上の権利)

ここからはわたしが実際に休業手当をもらった3つのケースを紹介します。
法律上の権利として認められているものですが、「知らなかった」「言い出せなかった」で泣き寝入りしている人が多いのも現実です。

ケース①「来てもらっても仕事がない」——それ、休業手当を請求できる日です

ある派遣先で、突然「今週はちょっと仕事がないので来なくていいです」と言われたことがあります。

派遣社員として働いている方なら、一度は似たような経験があるのではないでしょうか。
GWや年末年始、お盆前といった連休前に突然言われることが多く、収入への打撃も大きい時期と重なります。

当時のわたしは「派遣だから仕方ない」と思い、そのまま受け入れました。
収入が減った分は諦めて、次の出勤日を待つだけでした。

でも後から知ったのは、これは立派な「会社都合の休業」だということ。
派遣先の都合で就業できなかった日は、平均賃金の6割(60%)を派遣会社に休業手当として請求できたのです。

知っていれば、請求できていた。

ケース② 知識があれば勝ち取れる——派遣先都合の早期終了で休業手当をもらった実話

短期のデータ入力の仕事をしていたときの話です。

予定より早く作業が終わってしまい、契約満了の6日前に派遣先から「もう仕事がないので来なくていいです」と言われました。

派遣会社からは「働いた分だけしか給料は発生しないので、残りの6日分はお支払いできません」と言われました。

他のスタッフは当然ご立腹。でも結局は「仕方ない」と泣き寝入りしていました。

わたしは休業手当の知識があったので、派遣会社の営業担当に「給料保障制度があるはずです」と申し出ました。

最初はしぶしぶという雰囲気でしたが、結果的に保障してもらえました。
ただし「他のスタッフには内緒にする」「6日分ではなく3日分」という条件つきでした。

今思えば、そこで「労働基準監督署に相談します」と伝えていれば、6日分全額もらえたかもしれません。

知っていると知らないとでは、こんなに差が出ます。

ケース③ ある派遣会社が廃業になった話——労働基準監督署に相談して動いた

派遣先が経営不振に陥り、正社員への給料が払えなくなって、社員が次々と退職していきました。

最後に残ったのは社長と社員1人だけ。

それでもわたしたちは派遣社員として働き続けていました。

後から知ったのですが、派遣先から派遣会社への支払いは、わたしたちが働き始めた9か月前から1度もされていなかったそうです。
それでも派遣会社はわたしたちに給料を払い続けていたことになります。

やがて派遣会社も廃業することになり、わたしたち派遣社員2人で労働基準監督署の窓口まで足を運びました。

事前に労働基準監督署に電話で計算方法を確認してから臨んだところ、派遣会社が提示してきた金額が、労働基準監督署で確認した金額より多かったのです。

「おかしい」と思い、改めて労働基準監督署に予約を入れて直接確認してもらいました。

担当者からは「計算方法が違うけれど、多くもらう分には問題ない。そのまま静かにサインしてもらいなさい」とアドバイスをもらい、多い金額のまま受け取ることができました。

事前に労働基準監督署に相談して知識をつけておいたことで、冷静に動くことができた経験です。

番外編:派遣先の好意で全額もらえた3つの話

ここからは法律上の権利とは少し異なる話です。

派遣先の好意で、平均賃金の6割(60%)ではなく全額が支給されたケースを3つ紹介します。
義務ではないからこそ、派遣先の誠意がにじむエピソードでもあります。

ケース④ 想定外の事態で出勤できなくなった——派遣先が自ら全額支給を申し出た話

派遣先で想定外の事態が起き、就業できない状況になりました。

派遣先から状況説明の場を設けると連絡があり、そこで告げられたのは「お休みしている期間は全額保証させていただきます。さすがに交通費は出せませんが」という言葉でした。

交渉したわけではありません。
派遣先が自ら申し出てくれたのです。

法律上、不可抗力による休業は休業手当の対象外になる場合もあります。
それでも全額を支払ってくれた派遣先の誠実な対応は、今でも印象に残っています。

ケース⑤ 創立記念日——担当者の一言で全額もらえた話

「創立記念日って無給になるの?」

派遣社員として働いていると一度は頭をよぎる疑問です。

わたし自身は、創立記念日に派遣先の担当者から「タイムカードつけていいよ」と声をかけてもらい、全額支給されたことがあります。

ただしこれは法律上の権利ではなく、担当者が伝えてくれるかどうかで結果が変わる話です。

同じ職場・同じ派遣会社でも、言ってもらえた人ともらえなかった人がいる。それが派遣の現実です。

詳しいエピソードはこちらの記事もどうぞ。

ケース⑥ 年末最終日の早上がり——定時まで打刻していいと言ってもらえた話

「年末の早上がり、タイムカードどうすればいいの?」

年末の最終出勤日は、午後から片付けや大掃除になり、仕事が早めに終わることがあります。

そのとき担当者から「定時まで打刻していていいよ」と言ってもらえたことがあります。

こちらからは言い出しにくいのが正直なところです。
言ってもらえるかどうかは、派遣先の担当者次第というのが現実です。

詳しいエピソードはこちらの記事もどうぞ。

休業手当の計算式と実際の金額イメージ

時給制の場合、以下の2つを計算して高い方が平均賃金になります。

原則:直近3か月の賃金総額 ÷ 直近3か月の暦日数

最低保証額:直近3か月の賃金総額 ÷ 直近3か月の実労働日数 × 0.6

具体例で確認してみましょう

時給1,200円・1日8時間・月20日勤務・直近3か月の暦日数が91日の場合

3か月の賃金総額:1,200円 × 8時間 × 20日 × 3か月 = 576,000円

原則の平均賃金:576,000円 ÷ 91日 ≒ 6,329円

最低保証額:576,000円 ÷ 60日 × 0.6 = 5,760円

→ 原則の方が高いので平均賃金は6,329円

1日あたりの休業手当:6,329円 × 60% ≒ 3,797円

休業日数が5日なら:3,797円 × 5日 = 約19,000円

1日あたりの休業手当は「平均賃金×60%」です。
それに休業日数(所定労働日のみ・土日祝日は含まない)をかけた金額が支給総額になります。

提示された金額は必ず給与明細3か月分で自分でも確認してみてください。
おかしいと感じたら派遣会社に確認を。それでも解決しない場合は労働基準監督署への相談も選択肢のひとつです。

※ 上記はあくまで概算です。
法律の改正や個人の勤務状況によって正確な金額は異なります。

申請の手順:派遣会社への伝え方

休業手当の申請先は派遣会社(派遣元)です。

申請の流れについてはこちらの記事でも触れていますが、基本はこの3ステップです。

ステップ① 記録を残しておく

「今日は来なくていい」と言われた日時・誰から言われたか・理由をメモしておきましょう。

口頭だけでは後から「そんなことは言っていない」となるリスクがあります。
できればショートメッセージやメールで確認を取っておくのが理想です。

ステップ② 派遣会社の営業担当に連絡する

「派遣先の都合で○日から出勤できない状況になると言われています。休業手当はどうなりますか?」

事実を伝えるだけで大丈夫です。

ステップ③ 休業手当の金額を確認する

前のセクションの計算式はあくまで概算です。

法律の改正や個人の勤務状況によって正確な金額は異なります。
正確な計算方法については、最寄りの労働基準監督署に問い合わせることをおすすめします。

それでも解決しないときは労働基準監督署へ

派遣会社に相談しても対応してもらえない、そもそも派遣会社自体がなくなってしまった——そんなときの最後の手段が労働基準監督署への相談です。

「敷居が高い」「大げさかな」と思う方も多いと思います。

でも実際に足を運んでみると、窓口の担当者は親切に対応してくれます。
わたし自身、ケース③でお伝えしたように、実際に窓口まで行った経験があります。

相談前にやっておくこと

窓口に行く前に、以下を手元に用意しておくとスムーズです。

  • 給与明細の直近3か月分
  • 休業を告げられた日時・相手・理由のメモ
  • 派遣会社とのやり取りの記録(ショートメッセージ・メールなど)

「証拠を揃えないといけない」と身構える必要はありません。
まずは電話で相談するだけでも大丈夫です。

相談窓口

全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)から最寄りの窓口を調べることができます。

予約不要で相談できる窓口もあります。
まずは電話で「派遣社員なのですが休業手当について相談したい」と伝えるだけで十分です。

まとめ

「派遣社員に休業手当なんてない」と思っていた方も、この記事を読んでイメージが変わったなら嬉しいです。

最後に6つのケースを振り返ります。

法律上の権利として請求できる3つのケース

    • ケース① 来てもらっても仕事がないと言われた日——知っていれば請求できた
    • ケース② 契約期間途中の早期終了——自分から申し出て3日分もらえた
  • ケース③ 派遣会社が廃業——労働基準監督署に相談して正しい金額をもらえた

派遣先の好意で全額もらえた3つのケース

  • ケース④ 想定外の事態で出勤できなくなった——派遣先が自ら全額支給を申し出た
  • ケース⑤ 創立記念日——担当者の一言で全額もらえた
  • ケース⑥ 年末最終日の早上がり——定時まで打刻していいと言ってもらえた

共通して言えるのは、「知っていたから動けた」ということです。

請求するかどうかは最終的に自分次第です。
もめごとを避けたくて泣き寝入りを選ぶこともあるでしょう。

でも「知らなくて泣き寝入り」と「知っていて選択する」は、まったく違います。

この記事が、派遣社員として働く誰かの「知らなかった」をひとつでも減らせたなら嬉しいです。


困ったときは全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)から最寄りの窓口に相談してみてください。

 

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