派遣先で偶然、派遣会社からきた自分の請求書を見てしまった。
経理の人から教えてもらった。
請求時給と、実際にもらっている時給の差が大きすぎる。
これって派遣会社って搾取しすぎじゃないの?
派遣会社のピンハネがエグすぎる。
こういうモヤモヤ、派遣社員として働いていると一度は感じたことがあるんじゃないでしょうか。
この「請求時給と自分が実際にもらっている時給の差」のことを、マージン率といいます。
「引かれている分」の割合=マージン率
実際は:
- 社会保険料(会社負担分)
- 有給休暇の費用
- 教育訓練費・福利厚生費
- 営業担当者の人件費・オフィス賃料
- 派遣会社の利益
上記などの経費を含める
つまり
「ピンハネ」ではなく「運営コスト+利益」です。
実は派遣会社はマージン率を公開する義務があります。
でも私自身、つい最近まで存在すら知りませんでした。
この記事では、実際に主要派遣会社のPDFを集めてマージン率を調べてみた結果と、私の実体験の話をまとめています。
派遣先が私にいくら払っているか、知ってしまった話
随分昔の話ではありますが、、建設現場の事務をしていた頃の話です。
突然、所長が伝票を見て叫びました。
「俺の給料より高いじゃねえか。どうなっているんだ。あんたどれだけもっていくんだよ」。
何事かと思ったら、所長の手にあった本社から届いた振替伝票を見せてもらいました。
60万円近い数字。
当時は現在と仕組みが違った可能性もありますが
現場事務所の現場事務だったせいなのか、前払い分・当月の請求金額・補償額など、何が含まれているのか全部はわかりませんでしたが、私に関連する費用であることは確かでした。
初月に一括請求された金額が、60万円近かったようです。
60万円と聞いて、正直ピンとこなかったんです。
自分の給料と結びつけて考えられないくらい、金額が違いすぎて。
派遣先が払っている金額と、自分が実際にもらっている金額。
その間に何があるのか、このとき初めて気になりました。
当時は知らなかったけど、今なら構造がわかります
請求書処理をしている経理担当者から聞かされた話
似たような経験をした方、多いんじゃないでしょうか。
請求書の処理をしている人から
「派遣の人の時給ってこんなに高いの?」
と直接聞かれるパターンです。
私も派遣先の正社員の方に「時給高いね」と言われたことがあります。
ただそのとき言っている側も、それが実際に私に入ってくる時給ではなく、派遣先が払っている請求金額だとわかっていないことが多いんですよね。
派遣の経理事務の子が火種をばらまく話
もう一つ、よくあるパターンがあります。
経理事務に入っている派遣社員が、火種をばらまくケースです。
同じ派遣先に、別々の派遣会社から来ている派遣社員が複数いる職場ってありますよね。
経理担当の派遣社員は請求書を処理する立場上、他の派遣社員の請求金額を目にすることがあります。
「あの子、あなたと同じ業務をしていて、後から働きはじめたのに時給高いよ。」
(本来の守秘義務はどこ?と耳を疑いますが……。言うまでもなく、業務上知り得た情報を他人に漏らすのは重大なルール違反です。いくら同じ派遣先の同僚だとしても、あってはならないことですよね。)
その後は…
時給が低い方から高い方への一方的な理不尽攻撃開始じゃないですか。
見たことありませんか。
結局のところ…
言っている側も、聞いている側も、それが手取りではなく請求単価だとわかっていないまま、モヤモヤだけが広がっていく。
このモヤモヤの正体が、派遣料金の仕組みにあると知っている人は、ほとんどいません。
時給がどうやって決まるのか、実はあまり明確な答えがありません。
派遣先がその仕事にいくら出せるか、派遣会社がどれだけコストを取るか、そのときの相場や交渉次第……いろんな要素が絡んでいます。
ただ確かなのは、派遣先があなたのために払っている金額と、あなたが実際にもらっている時給の間には、必ず「引かれている分」があるということ。
その「引かれた分」の割合のことを、マージン率といいます。
マージン率って?
マージン率を調べてみました。
時給の相場が気になる方はこちらの記事もどうぞ
派遣社員の時給は職種でこんなに違う|東京・大阪・名古屋・地方別の相場を徹底比較
マージン率の計算方法
マージン率とは、派遣先が払っている金額のうち、派遣会社が受け取る割合のことです。
計算式はシンプルで、
(派遣先が払う金額 − あなたの賃金)÷ 派遣先が払う金額 × 100
たとえば派遣先があなたのために時給2,200円を払っていて、あなたの時給が1,500円だとすると、
(2,200円 − 1,500円)÷ 2,200円 × 100 = 約31.8%
この31.8%がマージン率です。
実はこのマージン率、派遣会社は法律で公開する義務があります。
2012年から義務化されていましたが、ネットで誰でも見られるようになったのは2021年からです。
根拠は労働者派遣法 第23条第5項(厚生労働省)です。
まだ4年ほどしか経っていないので、派遣歴が長いベテランの方でも「そんな制度があったの?」と知らないことが多いんですよね。
私も、つい最近までマージン率が公開されていることを知りませんでした。
主要派遣会社の大阪エリアのマージン率比較
実際に大阪エリアの主要派遣会社のデータを調べてみました。
各社の公式サイトに掲載されている2024年度のPDFをもとに、まとめたものがこちらです。
| 会社名 | 拠点 | 派遣料金(8h) | 賃金(8h) | 時給換算 | マージン率 |
|---|---|---|---|---|---|
| スタッフサービス | 大阪第一 | 23,234円 | 15,544円 | 1,943円 | 33.1% |
| リクルートスタッフィング | 梅田 | 19,078円 | 12,900円 | 1,613円 | 32.4% |
| パーソルテンプスタッフ | 梅田 | 19,032円 | 13,128円 | 1,641円 | 31.0% |
| パーソルテンプスタッフ | 堺 | 17,192円 | 12,056円 | 1,507円 | 29.9% |
| アデコ | 大阪中央 | 17,938円 | 12,826円 | 1,603円 | 28.5% |
| パソナ | 難波 | 21,307円 | 14,287円 | 1,786円 | 32.9% |
| パソナ | 大阪 | 23,516円 | 17,275円 | 2,159円 | 26.5% |
※2026年4月30日時点の公開データに基づき筆者作成
※各社公式サイト掲載のPDFより。この数字はオフィス系・医療系・エンジニア系を含む全職種の平均値です。一般事務や営業事務として登録した場合の時給とは異なりますので、あくまで傾向の参考としてご覧ください。
アデコのみ対象期間が2024年1月〜12月、他社は2024年4月〜2025年3月。
表からいろいろと見えたことがありますが、ここはあえて感想はのべませんが、
「マージン率が低い派遣会社を選べば手取りが増える」とは言えないんです。
実際には
- 職種が違う
- スキルレベル
- 企業単価の違い
があります。
自分のマージン率を調べる方法
では実際に自分の派遣会社のマージン率を調べるにはどうすればいいか、手順をご紹介します。
一番簡単な方法は、厚生労働省が運営している人材サービス総合サイトを使うことです。
他には、インターネットでの調べ方はシンプルで、各派遣会社の公式サイトにも掲載義務があるので、「〇〇(派遣会社名) マージン率」で検索すると見つかるはずです。
私もこれで調べました。
ただし先ほどの表でも触れたように、出てくる数字はあくまでも全職種の平均値です。
同じ派遣先で8%も違った実例
実はこれ、私自身が経験した話です。
就業前に派遣会社のコーディネーターさんからこう言われました。
「ツルコさんの時給は1,500円です。
すでに4年就業中のベテランさんの時給は1,250円です。
4年就業中のベテランさんよりも、ツルコさんの方が250円高いです。
このことは、絶対に言わないでください。」
就業後に請求単価を知ることになったのですが、こうなっていました。
私の請求単価:時給2,200円
同僚の請求単価:時給2,060円
計算するとこうなります。
私のマージン率:
(2,200-1,500)÷2,200×100=31.8%
同僚のマージン率:
(2,060-1,250)÷2,060×100=39.3%
同じ派遣会社、同じ派遣先、同じ業務をしていて、マージン率が約8%も違います。
入社のタイミングもありますが、マージン率って、同じ会社でもこんなに変わるものなんです。
どう考えても、地域や職種を考えても一般事務の相場よりも低い金額で専門職として働いているのはおかしいと思うのです。
時給アップの交渉しないのかなあと思います。
本人が、どう思っているのかわかりません。
営業担当者に聞いてみた
マージン率という言葉を知った翌日、たまたま派遣会社の営業担当者が来たので聞いてみました。
「マージン率ってどうやって決まるんですか?」
返ってきた答えがこれです。
「本部のそういうことを決めている部署が『今期のマージン率はこれでいくから』って宣言してくるんですけど、テキトーに決めているんじゃないかと思いますよ。」
派遣会社の営業担当者の評価は売上高で決まるそうです。
マージン率は本部が決めるもので、営業個人が管理する数字ではないそうです。
さらにこんなことも言っていました。
「基本的にはそんなに気にしていないんですけど、同じ派遣先でも就業開始のタイミングによってマージン率が変わることもあるんですよ。あまりにも違うときは、入った時期の違いが原因だったりします。」
もちろんこれはある営業担当者の個人的な感想です。
実際にはマージンの多くは、派遣社員の社会保険料(会社負担分)・有給休暇のコスト・教育訓練費などに使われており、派遣会社が丸ごと利益にしているわけではありません。
ただ、マージン率の決め方に明確なルールがなく、会社や時期によってばらつきがあるのは事実です。
だからこそ、自分で調べて、交渉する価値があると思っています。
時給が上がらないと言われたら、一度マージン率を確認してみる
「これ以上時給は上げられません」と言われたことはありますか。
一旦、自分のマージン率を確認してみましょう。
まず、自分のマージン率を計算してみる。
(ただし、派遣先への請求単価を知っている場合のみしかできません。)
たとえば時給1,500円で働いていて、派遣先への請求単価が2,200円だとしたら、マージン率は31.8%です。
派遣会社のホームページで調べたマージン率と極端に差があるのなら、「もう少し上げてもらえませんか」と交渉する根拠にできます。
時給交渉は一度で諦めない
私が担当してもらっていた営業Aさんは、何度か交渉しないと動いてくれないで有名な方でした。
3回目くらいでようやく「13円上げます」と言ってくれる。
他の派遣社員からも聞いたことがありました。
「Aさんの時給アップって16円とか21円とか、円単位で刻んでくるよね」と。
この円単位の刻み方、もしかするとマージン率のギリギリのラインを見ながら調整していたのかもしれません。
時給は上げてもらえるんです。
でも、なんともいえない気持ちになるんですよね。
時給はあくまでも、複数の要因で決まるため、単純なルールはありません。
でも、時給交渉は一度で諦めないことが大事です。
結論
この記事でマージン率を調べてみてわかったことが3つあります。
まず、マージン率は約30%前後の会社が多いということ。
次に、マージン率が高いからといって搾取とは言い切れないということ。
社会保険料や有給休暇のコスト、教育訓練費など、マージンの多くは派遣社員のために使われています。
そして、マージン率よりも大事なのは交渉するかどうかとどの会社を選ぶかだということです。
「これ以上上がらない」と言われても、諦める前に一度マージン率を確認してみてください。
それでも「上がらない」という状況が続くなら、派遣会社を変えることも選択肢のひとつです。
同じスキル・同じ業務内容でも、派遣会社によって請求単価もマージン率も違います。
この記事で見てきたように、会社が変わるだけで時給が数百円変わることもあります。
マージン率は難しい言葉に聞こえますが、要は「自分の時給がどう決まっているか」を知るための数字です。
知っているだけで、交渉の場面でも、会社を選ぶ場面でも、自分なりの判断基準が持てるようになります。
派遣会社を探すなら、求人数が多いリクナビ派遣で一度条件を比べてみるのもいいと思います。

