「長期と聞いていたのに、更新されなかった。」
そんな経験が2回あります。
どちらも告げられたのは契約終了の2週間前。
次の仕事を探す期間としては、短すぎました。有休消化もあるのに。
最初に頭をよぎったのは「自分に何か問題があったのかな」という不安でした。
思い当たるふしを探してしまう。
でも実態は、どちらも会社都合のつなぎ採用でした。
最初から終わりが決まっていたのに、派遣会社にさえ知らされていなかったのです。
この記事では、次の3つを体験談を交えて書きます。
- 更新されない本当の理由
- 後から気づいたサイン
- 更新されないと言われたらやること
いま同じ状況で落ち込んでいる方がいたら、「自分のせいじゃないかもしれない」と思ってもらえたら嬉しいです。
派遣の「長期」は、実は期限がないわけじゃない
派遣求人で使われる「長期」には法律上の明確な定義はありません。
数か月以上の契約を「長期」として募集している派遣会社が多く、「長期=何年も働ける」という意味ではない点に注意が必要です。
つまり、4か月契約でも長期。6か月でも長期。1年でも長期。
「長期=ずっと続く仕事」ではないのです。
現在は法律で同じ職場での就業は最長3年と定められていますが、当時はそのルールもありませんでした。
だから「長期=ずっと続く仕事」というイメージがより強かった時代です。
ただ、つなぎ採用の本質や見抜くためのサインは、今も変わりません。
これまで働いてきた職場にも、同じ派遣会社から来ている派遣社員が何年も働いているところがありました。
そういう職場に入ると「ここも長く続けられる」と思ってしまう。
担当の営業さんもそう思っていた。
でも実際は、最初から終わりが決まっていた。
派遣先だけが知っていて、派遣会社にも私にも知らされていなかったのです。
つなぎ採用とは
新卒入社まで、正社員採用まで、育休復帰まで、合併・組織変更まで——企業が一時的に人手を補うために派遣社員を採用するケースです。
最初から終了時期が決まっていることもあります。
私が経験したように、派遣先だけが事情を把握し、派遣会社や派遣社員には共有されないまま契約が進むケースもあります。
「長期です」と言われて入った会社で、更新されなかった話①
1社目は、大手企業でのOA事務でした。
公共事業のための資料を役所に納品する仕事がメインです。
入ったときは「長期」と聞いていました。
同じ派遣会社から来ている先輩派遣社員が、別の部署で何年も働いていたので、私もそうなるものだと思っていました。
ところが、残業が多いと聞いていたのに、最初から「残業しないでください」と言われました。
おかしいな、とは思いました。でも理由は教えてもらえなかった。
契約更新のタイミングが近づいてから、1か月以上前より派遣会社を通じて更新の打診をしていました。
それでも返答がなく、はっきり告げられたのは契約終了の2週間前。
後から分かったことですが、私のポジションが新卒が入るまでの1年間の穴埋め採用で、給与は労働組合の予算から出ていたため、残業代が出せなかったのです。
同じ部署の別な派遣社員は長期で働き続けていたので、派遣会社も当然続くと思っていたようです。
残業を禁止されたのも、そういうことだったのか、と。
あの違和感は、サインだったわけです。
有休が7日残っていました。
契約終了まで残りの出勤日は10日。
有休消化を派遣先に渋られましたが、なんとか消化しきりました。
「長期です」と言われて入った会社で、更新されなかった話②
2社目も、大手企業でのOA事務でした。
入る前の経緯が少し複雑で、前任の派遣社員が派遣先との折り合いが悪く、突然契約を切られたのです。
その方はわずか2週間しかいなかったのですが、引き継ぎはその方から受けることになりました。
本来であれば2週間しかいなかった人からの引き継ぎなんて、あり得ない話です。
事前に正社員さんから「形だけでいいから話を聞いてあげて。仕事ができなくて2週間で契約を切られた方だから、業務内容を理解できていないと思う。だから引き継ぎの内容が分からなくても、あなたのせいじゃないから。
その後、早期退職した正社員が1週間、午前中だけ来て改めて引き継ぎするから」と言われていました。
労働組合への対応上、形式として引き継ぎを行う必要があったようで。
二段階の引き継ぎ、という何とも言えない入り方でした。
仕事に入ってすぐ、エクセルの計算式を整理しようとしたら「さわらないでください、そのままにしてください」と言われました。
レガシー化したExcelだったのですが、改善も効率化も禁止。
渡されたやり方をそのまま引き継ぐだけ、という状態でした。
しかも、とにかく暇でした。
何かしようとしても止められる。
倉庫のパンフレットがぐちゃぐちゃだったので整理しようとしたら、それも「しなくていいです」と言われました。
私のほかにもう一人、派遣社員がいました。
その子も仕事がなくて、暇そうでした。
明らかに人数合わせだな、という雰囲気が漂っていました。
後から分かったことですが、その会社は他社との合併が決まっていて、希望退職者を募って人員整理をしていた時期でした。
人が減ったことを組合員に指摘されないための、一時的な人員補填だったのです。
だから新たな仕事は増やせない。パンフレットだって、どうせ合併で会社名が変われば廃棄になる。
当時は理由も分からないまま、ただ言われた通りに過ごしていました。
つまり私がいた半年間は、労働組合向けの人数合わせのために入れられ、最終的にはまた今いる正社員さんに引き継ぐためだけの期間だったわけです。
最初から終わりが決まっていた仕事を、知らずにこなしていた。
更新の打診を続けていたのに、はっきり告げられたのはやはり契約終了の2週間前。
派遣会社の担当者は、私の口から初めてその事実を知ったと言っていました。
後から気づいた「更新されないサイン」
2社とも、契約終了を告げられてから振り返ると「あれがサインだったのか」と気づいたことがいくつかありました。
当時は理由が分からなかっただけで、ちゃんとサインは出ていたのです。
残業を最初から禁止された
残業が多い職場と聞いていたのに、最初から「残業しないでください」と言われた。
予算が限られていたから、というのが後から分かった理由でした。
仕事の改善・効率化を止められた
エクセルの計算式を整理しようとしたら「さわらないで」と言われた。
新たな仕事を増やせない事情があったのです。
とにかく暇にさせられた
何かしようとしても止められる。
やることがないのではなく、やらせられない理由があったわけです。
更新確認の返答がギリギリまで来なかった
1か月前から打診していたのに、返答は契約終了2週間前。
当時を振り返ると、派遣先の事情で返答が遅れていた可能性があると感じています。
ほかにも、後任らしい人が職場に出入りし始めた、引継ぎ資料を急に作るよう言われた、といったサインを経験した派遣社員の話を聞いたことがあります。
職種や職場によって形は違いますが、「何かおかしい」という違和感は、たいてい正しい。
どれも「おかしいな」とは感じていました。
でも理由が分からないまま、そのまま過ごしてしまった。
今思えば、早めに次の仕事を探し始めるべきだったかもしれません。
更新されないと言われたらやること
まず確認したいのは次の5点です。
- 契約終了日はいつか
- 有休は何日残っているか、消化できるか
- 次の仕事の紹介はあるか
- 離職票はいつ届くか
- 休業手当の対象になるか
感情的になるのは当然ですが、まずこの5点を派遣会社の担当者に確認することが先決です。
特に有休消化は、私が経験したように渋られることがあります。
権利として主張してください。
違和感を察知した段階で動けるなら、更新確認の期限を担当者に切って聞くことをおすすめします。
返答が濁されたら、その時点で次の登録や求人チェックを並行してスタートさせてください。
突然の契約終了に備えて、派遣社員としての権利を知っておくと安心です。
関連記事:▶派遣社員の連休は無給?泣き寝入りしないための権利と契約書の読み方
契約更新についてよくある質問(FAQ)
Q. 更新されないと言われました。私に問題があったのでしょうか?
A. そうとは限りません。
派遣先の予算、組織変更、正社員採用の予定など、あなたの働きぶりとは無関係な事情で決まっていることがあります。
私自身、2回とも理由は会社都合でした。
Q. 更新されない理由を教えてもらえますか?
A. 派遣会社に確認できます。
ただし、派遣先が派遣会社にも詳しい事情を伝えていないケースがあります。
私の場合、派遣会社の担当者も知らされていませんでした。
Q. 契約終了はいつまでに伝えられるものですか?
A. 明確な決まりはありませんが、遅い場合があります。
私は2回とも契約終了の2週間前でした。
「更新の返答はいつまでにもらえますか」と期限を切って聞くのが有効です。
Q. 残っている有給休暇は消化できますか?
A. できます。有給休暇は法律で認められた権利です。
私も渋られましたが、消化しきりました。
契約終了が決まったら、残日数と出勤日数を照らして、早めに申請してください。
Q. 3年働けば、更新されないということはなくなりますか?
A. なりません。
同じ組織単位で3年働くと、派遣会社には雇用安定措置の義務が生じますが、その方法は「直接雇用の依頼」「新たな派遣先の提供」「無期雇用」など複数あります。同じ職場で働き続けられるとは限りません。
Q. 派遣会社の対応に納得できないときは、どこに相談すればいいですか?
A. 都道府県労働局に相談できます。
雇用安定措置が適切に行われていない場合、法違反と評価される可能性があります。
厚生労働省の「派遣で働く皆様へ(Q&A)」に具体例が載っています。
まとめ:更新されない=自分のせいとは限らない
2社とも、私のパフォーマンスや人間関係は関係ありませんでした。
最初から契約終了まで見据えた採用だった、ということでした。
それでも当時は、「自分に何か問題があったのだろうか」と考えてしまいました。
思い当たるふしを探して、余計なストレスを抱えたことを今でも覚えています。
派遣先の都合で契約終了が決まっていても、その事情が派遣社員や派遣会社に十分共有されないケースはあります。
40社以上を渡り歩いてきた私からお伝えしたいのは、更新されなかった理由は一つではないということです。
必要以上に自分を責める前に、まずは派遣会社に事情を確認し、次の仕事探しを早めに始めてください。
その行動が、結果的に自分を守ることにつながります。
更新されないと言われたら、やることリスト
- 契約終了日を確認する
- 有給休暇の残日数と、消化できる出勤日数を確認する
- 有給消化を申請する(渋られても権利として主張する)
- 次の仕事の紹介があるか、派遣会社に確認する
- 離職票がいつ届くか確認する
- 休業手当の対象になるか確認する
- 他の派遣会社への登録・求人チェックを同時に始める
- 更新の返答が濁されたら、期限を切って回答を求める
- 派遣会社の対応に納得できなければ、都道府県労働局に相談する
派遣社員の権利や制度について詳しく知りたい方は、厚生労働省の「派遣で働く皆様へ(Q&A)」もあわせてご覧ください。


